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2008年 10月 28日

精神

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 映画監督:想田和弘の手がけた、精神科の患者の世界を描いた新作ドキュメント映画『精神』が、釜山国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞に当たるPIFF Mecenat Awardを受賞。
 『精神』はこの秋完成し、釜山映画祭で世界初公開を遂げていた。
 10月3日と6日に行われた上映はいずれもチケットが完売だったそうだ。上映終了後、いったん東京へ戻った想田監督は、映画祭側からの要請で10日に釜山へ舞い戻り、閉会式へ出席して受賞。
http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d00000ehb78.html

 審査員による受賞理由の説明は、次の通り。

 【「正常」と「『正常』によって『異常』と呼ばれるもの」の間に幕を引くのがこの映画の趣旨である。しかし、それだけではない。山本医師の診療所という美しい劇場の幕があき、喜びと悲しみを湛えた美しい人物たちがゆっくりと世界を膨らます。】

 想田監督によれば…「40分間のはずだった上映後の質疑応答が、白熱しすぎて90分間に及ぶなど、釜山映画祭は実り多きものでした。特に心の病を患うお客さんの反応が好意的だったのでホッとしました。勇気を振り絞って映画に出てくれた患者さんたちに対する感謝の気持ちでいっぱいです」とのこと。

 本作の日本公開も決まった模様。まだ随分先だが、2009年の初夏、東京のイメージ・フォーラムや大阪の第七芸術劇場などで全国公開予定。配給・宣伝は、『選挙』も手がけたアステア社。

 そして想田監督より戴いたDVDでいち早く『精神』を観させていただいた。
 DVDを戴いた翌日に即見た。
 見て、倒れた。すごかった。意味合いとしては動けなくなるような感じ。
 よくもあの距離感で撮影出来たことに、まず驚かされた。

 この映画には音楽もないし、ナレーションもない。つまり、観る者にすべてのジャッジを委ねるという有り様だ。すなわちその、あえて何もしないという演出は、観る者自身に大いに考えさせる仕組みになっている。
 映画のクオリティという局面だけで言うと、一世風靡した前作『選挙』の何倍も優れた作品だと思う。
 最優秀ドキュメンタリー賞受賞は当然だった。

 劇中出てくる、子供を殺めてしまった彼女の顔は、自分の子供を思い出す時、たまに蘇るだろう。
 己が健常者である故、「悲惨」とか「いたたまれない」という言葉がどうしても真っ先に出てくるが、この作品を見た人が、例えば、失恋だったり、受験に失敗したり、あるいはいじめられたり…という個人にとっての事件が人生においてどの程度の打撃なのかということや、果たしてどういった重さなのかを考える、ひとつのきっかけになればと思う。

 しかし、エンドロール前の“追悼”の文字が、なんとも言えない気持ちにさせられた。
 この作品は『選挙』の時よりも人に見ることを勧めると思う。

 また寿司喰いながら取材やりたいなぁ。想田監督、改めて受賞おめでとう!

投稿者 yonezawa : 2008年10月28日 08:06

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